【はじめに】
八王子市にある日本文化大学は法学部の単科大学です。
単科大学とは、学部学科がひとつしかない大学になります。
明治大学でしたら、法学部、商学部、政治経済学部、理工学部、
情報コミュニケーション学部など、色々な学部を用意していますので、
こちらは総合大学という分類になります。
ただし、日本文化大学は文系の大学でありながら、
数学・理科・社会の授業も用意しています。
その理由ですが、公務員試験に必要だからです。
こうした試験では一般教養を問われそのため、
ある程度の数学・理科・社会の学問を修めておかないと、
その問題を解くことが出来ないのです。
一般企業へと勤めるのでしたら、
面接だけで合否を判定してくれるところが多いですが、
公務員試験の多くが、このような総合的な知識を問うことを行っているのです。
もちろん、数学・理科・社会だけでなく、小論文作成能力や英会話能力、
運動性能、コミュニケーション能力、正義感も試験します。
警察官として働くなら、強い正義感を面接でアピール出来ないと
合格できないかもしれませんよ。
【数学 Mathematics】
日本文化大学は1年の選択授業として「数と論理」と「基礎数学」を用意しています。
内容としては、高校レベルの数学ⅠAと数Bあたりだと思います。
推測ですが、数Ⅱは範囲外だと思います。
三角関数は多分やらないのではないでしょうか。
それよりも、数列、命題、確率、統計あたりを重点的に学ぶと思いますよ。
と言うのも、そうした問題が公務員試験に出題されるからです。
三角関数や微分積分の公式を使うことはなく、
文章読解力が必要な文章問題による数学が多数出題されます。
それこそ、IQを測る頭の体操のような数学の問題が出題されるでしょう。
論理的に思考できる数学力が必要なため、
日本文化大学はそうした教育に力を入れているのです。
【理科 Science】
日本文化大学では自然地理学を履修できます。
ただし、公務員試験において自然科学分野はあまり重要ではありません。
警察官として働くのに、メンデルの法則やベンゼン環を覚えても、
実務に使うことは全くないでしょう。
公務員試験における自然科学分野は
あくまで一般教養として扱われているのです。
それゆえ、覚える項目もそこまで複雑ではありません。
センター試験と同等とも言われています。
とは言っても、センター試験の生物や地学で満点を取れれば、
東大だって合格出来るでしょう。
生物や地学は暗記系学問ですが、
こうした勉強が得意でない方はかなり居ると思います。
そもそも日本文化大学は法学部なので、
理系分野は一切携わらないことが多いでしょう。
実際、公務員試験に臨む方は全ての教科で優秀な点を取ることはせず、
コストパフォーマンスの悪い、理系科目を捨てることは、よくやっているそうです。
大体、5割くらいを取れるように勉強しているみたいですよ。
【社会 Social studies】
社会は結構重要です。
地理はともかく、経済学や倫理学は警察官として働くなら必須科目と言えます。
日本文化大学では政治学が必修なので、
どれだけこの科目が大事かというのが伺えそうです。
とりあえず、日本文化大学の1年の授業は基礎教育に重点を置いていますので、
この政治学も高校生レベルだと思いますよ。
センター試験の政治経済くらいの難しさではないでしょうか?
人によっては十分難しい内容になってしまうかもしれませんね。
しかし、2年・3年になればもっと難しい内容の授業になりますので、
躓かないためにも1年の時にしっかりと基礎を身に付ける必要があると言えます。
【キャリアマネジメント Career Management】
警察官採用試験および、
公務員試験の対策は1年前からするのが基本と言われています。
しかしそれは1年まるまる時間を費やせる場合です。
仕事をしていたり、他の授業を受けていたら、その余裕はないでしょう。
そこでもっと早くから対策を取ります。
日本文化大学でしたら、1年の4月からいきなり公務員対策を始めます。
通常の3倍の時間を取れれば、
他の授業を受けながら必要な知識を無理なく詰め込めるでしょう。
その授業ですが、日本文化大学ではキャリアマネジメントと言います。
1年次はキャリアマネジメントⅠ、2年次はキャリアマネジメントⅡ、
3年次はキャリアマネジメントⅢと、徐々にパワーアップさせていきます。
なお、キャリアマネジメントⅣはありません。
4年生ともなれば、キャリアマネジメントで準備をするというより、
もう既に結果が出始めている時期だからです。
警察官採用試験の日程は各都道府県でバラバラで、
しかもひとつの県で複数回受験できることが多いですが、
早ければ5月受験で7月に結果が分かることは多いでしょう。
5月受験なのに4月から準備をしていては遅すぎると言えます。
面接対策などもしないといけませんので、
日本文化大学はキャリアマネジメントという共通の講座を用意するのではなく、
個別に就活指導をするようにしているのです。
このキャリアマネジメントですが、徐々に内容がステップアップします。
1年次にはまず、数的処理からスタートします。
選択授業にて「数と論理」と「基礎数学」を履修出来ますが、
それに似たような授業になると言えます。
イメージとしては、SPIの非言語問題でしょうか。
フィボナッチ数列くらいは一瞬で見分けるようになった方が良いですよ。
そして2年からは、数的処理に加えて、自然科学、社会科学、人文科学を学びます。
あまり耳慣れない言葉ですが、それぞれ以下の科目に分類できます。
自然科学:化学、生物、物理、地学
社会科学:政治経済、倫理
人文科学:日本史、世界史、芸術
ちなみに、日本文化大学では学びませんが、
医学、農学、工学は応用化学と呼ばれます。
その後3年になると、各コースに分かれて試験対策を行っていきます。
すなわち、「警察・消防コース」と「市役所コース」です。
前者は警察官採用試験(消防官採用試験)、後者は公務員試験に対応します。
こちらもそれぞれ数的処理を行いますが、
文章理解と時事問題、論文、面接対策など、
色々と本格的に試験対策するようになります。
これらの3段階のキャリアマネジメントですが、
日本文化大学は通年30回・集中30回用意しています。
3年間の合計コマ数は180回に及びます。
1コマ90分なので、16200分(270時間)になります。
もちろん、これだけの学習時間で公務員試験は突破できませんので、
授業以外の時間を使って、地道に自習活動していくのが大事と言えるでしょう。
ちなみに一般的には1000~1500時間必要と言われています。
でも、警察官採用試験の方はハードルが低くなり、
500時間で十分とも言われています。
その分、面接を重視しているとも言えます。
【おわりに】
「算数が将来何の役に立つんだ?!」と疑問に思っている子供は多いでしょう。
実際、四則演算以外の数学は、日常生活で全くと言っていいほど使いません。
宝くじや競馬の確率を計算するなら、確率や統計学の知識は必須ですが、
そうしたものをやらなければ、不要と言えるかもしれませんね。
株式投資をする場合でも、
必要な数学の知識は中学生レベルで十分とも言われています。
ただし、文章読解力はどこであろうとも重要です。
正しく文章を読めないと、源泉徴収の書類すら出せないかもしれません。
だからこそ、日本文化大学では「数と論理」の授業を用意しているのです。
数学においても、論理的な思考力はかなり必要になるんですよ。
日本文化大学は文系の大学ですが、しっかりと数学力を身に付けましょう。